不作動ラジオ修理例
   

  SONY ラジオ ICF-SW100 電源が入らない。
 
分解するとキーボードからのフレキ(frexible print cable 柔軟配線,リボンケーブル ribbon cableとも言います)が切れていました。  交換部品の入手が困難であり、交換してもすぐに切れそうな構造であるので、切れたフレキを接続し、曲げを逃すように切り込みを入れた。 これにより良好に作動するようになりました。

 ブログ記事の詳細写真です。
 修理順に写した写真と、一部コメントです。 (自分のメモ、及び参考用)


分解
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001
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002
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003
・分解に必要なネジは4本のみ。  最初に底部を外す。001
・はめ込み構造なので、カードなどを差し込んで慎重に開ける。   
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004
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005
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006
・バーアンテナがとれてくる。004
・テープで仮固定するが、分解の邪魔なので、半田コテでワイヤ4本を外す。
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007
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008
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009
・キーボード部は、駒(キートップ)が外れて来る008が、まとまっているので間違えることはない。 008
・ボリュームノブはネジで外す。009  
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010
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011
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012
・ 基板本体  フレキは両面テープで固定されているので、ドライヤーで温めて取る。012
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013
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014
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015
・液晶部はカバーが嵌めこまれているだけ。013
・フレキは2本ある。
  
1本はキーボード-液晶間(1) 他の1本は基板-液晶間(2)
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016
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017
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018
・フレキは、液晶直下部で剪断したように切れている。016 分解時に2本とも完全分断した。017  
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019
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020
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021
・フレキの通り道(経路)は、非常に狭いスリット(開口溝)を通っており、逃げが無い。  020


本体筐体(きょうたい)の加工
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022
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023
R4211931.jpg 2000x1500 198,196 Bytes
024
・このままでは、フレキを修理しても、再発(切断)の可能性が高いので、フレキの逃げを作るため、筐体を削る。  
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025
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026
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027
・液晶部に開けた穴。 少し縦方向に広げすぎた。  033
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028
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029
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030
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031
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032
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033
・液晶を開閉させながらスリットの広さを見る。 032
・閉じた時に狭くなるので、キーボード側も削る。  
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034
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035
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036
・開口部の仕上げは、ジクロロメタンを含む綿棒で拭き取るように表面処理 これにより、凹凸が溶けてきれいになる。035
・なお表面部はイソプロピルアルコールが良い。 (綿棒は小児用) 036



リボンケーブル(フレキ)の接続 connection of cut cable.
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037
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038
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039
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040
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041
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042
hp200LXのケーブルに比べれば、はるかに荒い電極間隔であり、かつ裏面に銅膜が施されていないので、接続は容易かつ堅固にできる。040
・フレキ接続のため、電極部にハンダメッキ下処理を行う。
・カッターでフレキ表面の樹脂を剥ぎ取る。  041
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043
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044
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045
・フレキを数ミリ ラップ(重ね)させるため、一方のハンダメッキは端部ではなく、やや中程に施す。  
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046
connectio of the cut ribbon cable by wire.
047
切れたリボンケーブルを細線で接続
048
・細線で結合する。 (顕微鏡下の作業)  
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049
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050
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051
・細線結合後、イソプロピルアルコールを綿棒に含ませ、十分に洗浄する。 ハンダ処理が甘い(弱い)場合には、ここで外れる。049
・  18本/9mm 約0.5mmである。 特別困難ではない。 050
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052
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053
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054
・結合部の表面、裏面にエポキシ樹脂とカプトンテープを用いて硬化させる。  
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055
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056
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057
・硬化するまで、錘を載せる。 056
・この間に、他方のフレキを修理。 樹脂を削る 057
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058
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059
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060
・こちらは、バイス(万力)で固定。
・先ほどのフレキが部分硬化したので、裏面にもカプトンテープを施す。 周回させようとしたが、浮くので、表面と同様に平面上に貼り付ける。  
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061
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062
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063
・2時間程度で硬化 圧力を解いても問題ない。  
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064
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065
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066
・はみ出した部分のテープを切断する。
・フレキの接続処理完了 (066)  
 
フレキ修理の図示

詳細

テストおよび組立
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067
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068
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069
・仮付して、給電し動作を確認 069  
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070
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071
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072
・組立 バーアンテナ線は、基板に色が記載されているので間違えない。 070
・底蓋は、ボリューム側を先に入れる。  072
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073
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074
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075
・電池部を見ると、フレキが横断している。073 このままでは電池が入らない。 フレキの導入ルートを間違えたようだ。  
・再度分解しルートを修正 074
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076
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077
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078

・動作良好 077
・表面にはフレキが現れる。 これにより不具合があればすぐに露見する。 078
・開閉中のフレキを見ると、ほとんど無理な動きが無い。 この状態であれば完全修理と言える。 078

 なぜか感度まで向上した。 気のせいだろうか。 
 2012.10.22  

ps:Youtubeに「SONY ICF-SW100 ribbon cable replacement」を見つけました。
 この映像によりますと、新しいリボンケーブルは、ケーブルだけでなく液晶側の枠も付属しています。
 つまり、交換キットを使えば、ここで行った筐体の拡張改造は不要ということです。
 やはり、単にケーブルを交換したのでは意味がない(短命)ということがあきらかなのでしょう。

20160323 当修理をお受けしております。 5000円(送料別) 表面にケーブルが目立たないようにしています。
 数台の修理経験から、全面は修理跡が目立たないようにしております。
(ただし、電池蓋部の割れについては修理できません。⇒ 造形材による修理可能2017.02.01追記)
切れた部分が液晶の曲げ部分に来ないようにずらしています。
2017.01.11 SW-100組み立て手順
2017.03.01 改良型SW100の故障修理。 電池液漏れ。